証券リテール営業の濃密な1日を紹介【「手数料」ノルマを徹底追求】

証券会社

こんにちは、ソムタム(@somtam_aroimaak)です。

新卒で入社した証券会社では、まずリテール営業(個人向け営業)に配属されました。

リーマンショックもあって散々な相場を経験しましたが、今振り返ってみると、非常に濃密な日々を過ごしていました。

リテール営業にまた戻りたいとはとても思いませんが、なかなかできる経験ではありません。

そこで覚えたテクニックが他で通用するとも思いませんが、証券会社の主たる収入源「手数料」に徹底的にこだわる姿勢は、「稼ぐ」とはこういうことだと教えてくれました。

ということで、あまり知られていない証券リテール営業の1日を紹介します。

「朝残業」という特異な文化

証券リテール営業として配属され、まず驚いたのは、始業前の“朝残業”です。

配属された支店では、毎日1時間半程度の朝残業がありました。

始業時間8:40に対して、総合職の営業は皆、7時前後には出社していました。

9時に株式市場が開くので、仕方ない部分もあるのですが、朝残業では以下のようなルーティンがありました。

  • 支店の開店準備
  • 前日の海外市況や本日の市況見通しの確認(レポートの読み込み)
  • 本日のノルマや行動予定を共有し合う会議

朝から盛りだくさんです(日経新聞は出社前に読んでおきます)。

こうした朝残業は当然のごとくサービス残業です。

仕事前の準備体操に等しいという認識がまかり通っているのか、異議を唱える人は誰もいませんでした。

不思議です。

「成り行き注文」こそ至上

朝の会議などが一通り終われば、顧客への架電営業が始まります。

前場の手数料につながる「予約注文」を取るためで、前場の寄り付きで買いまたは売りが決まるような「成り行き注文」をできるだけ集めます。

特定の価格で買いまたは売りが決まる「指値注文」も悪くはないのですが、相場の状況次第では場中に約定しないため、手数料を見込むには心もとないです。

一方の成り行き注文は、発注すれば確実に約定することから、手数料の計算(皮算用)が可能です。

前場寄り前にたくさんの成り行き注文が確保できていると、寄り付きと当時に手数料を上げることができます。

支店長の怒号が鳴り響く場中

こうした予約注文が前場寄り付き前に積み上がっていると、支店のボスである支店長や部長はすごぶるご機嫌です。

しかし、予約注文が思うように入らないまま前場がスタートしてしまうと、支店の雰囲気は次第に怪しくなってきます。

手元の端末では、営業マン一人ひとりの手数料がリアルタイムで把握できるようになっています。

また、「営業一課」「●●支店」などの単位でリアルタイムに順位づけがなされています。

そのため、手数料が思うように上がらず、順位がジリジリと後退していくような状況では、支店長や部長の怒号が飛び交います。

  • 「あといくらやるんだよ?」(=自分のノルマに対して、いくらの手数料を上げなければいけないのか?やれ!)
  • 「お前が稼がないから、順位が落ちていくばっかりだぞ」(=手数料が上がらず、チームの足を引っ張っているんだぞ)
  • 「見込みはどれだけあるんだ」(=手数料を上げられる見込み客はあるのか?)

などがよく聞いた言葉です。

怒号が鳴り響く店内で、四季報が飛ぶのも見たことがあります(事実です)。

ノルマは株式手数料だけにあらず

さて、前場と後場の間のお昼休み(当時は11時~12時半)は、当然ながら外食など滅多にできません。

だいたいは近くのコンビニで弁当を買って会議室でそれを流し込み、すぐにデスクへ戻って顧客への架電を開始します。

前場で予定通りの手数料が稼げなければ、後場に巻き返すほかありません。

後場寄り付きの成り行き注文を中心に、ひたすら積み上げていきます。

このように営業ノルマは日割りで計算されており、さらにはそれを前場と後場で管理されています。

前場に思うような手数料が上がらなければ、後場に帳尻を合わせながら1日のノルマを達成していきます。

逆に前場で目標以上の手数料が稼げてしまえば、後場は必ずしもデスクに張り付いている必要はありません。

ノルマは株式手数料の他にもあるからです。

主要なノルマとして、債券や投資信託といった「募集モノ」の販売目標があり、株式手数料でノルマの目処がつけば、営業マンは投資信託の販売などに向けて外交へ出かけていきます。

顧客宅で「決める」もの

基本的に後場が終われば外交に出て、顧客宅を何軒かはしごします。

電車を使って徒歩で訪問したり、会社の車で顧客宅を回っていきます。

顧客宅では、手数料につながるような商談をすることになります。

商談では、以下のような取り引きをまとめ上げ、決めてきます。

  • 新規資金による外貨建て債券や投資信託の販売
  • 新規資金による株式の買い注文
  • 株式の売り注文
  • 外貨建て債券を売却し、投資信託を買い付け
  • 株式を売却して、別の新たな株式を買い付け
  • 含み損が出ている証券(株式や投資信託)を売却し、別の証券(株式や投資信託)を買い付け

このように、取り引きにもかなりバリュエーションがあります。

投資信託などの販売にあたっては、新規資金を出してもらうに越したことはないのですが、限界があります。

ですので、過去に販売した債券などを売却してもらい、新たに投資信託を買い付けてもらうような取り引きをまとめ上げていきます。

例えば、豪ドル建ての債券で為替差益(含み益)が出ている場合、満期を待つよりも、途中売却して為替で実現益を出した方が良かったりする場合があります。

為替差益が出ている債券を売却してもらう一方で、その売却資金を元手にしてもらいながら新たに投資信託を買い付けてもらう提案をし、まとめ上げます。

別のケースとして、時には、含み損を抱えている証券を損切りしてもらい、別の証券に乗り換えてもらうことなどもします。

損切りは心が痛むのですが、そうした提案をしていかないと手数料(つまりは、ノルマ)が上がらないのです。

含み損を抱えて「寝かしたまま」になっていては手数料は発生しませんが、心に傷を負ってでも損切りしてもらうことで、手数料が生まれます。

ちなみに、この損切りですが、もちろんお客さんの合意のもとで行います。

僕の経験では、確かに損切りに対してお客さんも快くは思わないのですが、含み損を抱えたままの状態も一方で心地悪いのも事実です。

含み損がこの先縮小する見込みならまだ良いのですが、含み損がさらに拡大してしまってはさらに身動きが取れなくなります。

お客さんにはそうした可能性も含めて丁寧に説明し、傷が浅いうちに思い切って損を出してもらい、別の証券に乗り換えてもらう。

そうした取り引きをすることで、お客さんには新たな夢を見てもらうわけです。

1日2度目の残業

こうした提案をまとめ上げ、支店に戻るのは20時ぐらいです。

(もちろん、提案が空振りに終わり、トボトボと支店に戻るときもあります。)

そこから残務処理や明日の準備(株式手数料が稼げていない場合は、明日の予約注文を確保するために架電も)をして、10時過ぎにやっと帰宅します。

リテール営業は個人客を相手としているので、深夜遅くまでは仕事をできません。

ただ、これだけの時間外勤務(朝残業も!)をこなしても、残業代は一切出ませんでした。

当時は「3年はやめるな」「石の上にも3年」を鵜呑みにしており、毎日毎日を「辛い辛い」と思いながら、ヘトヘトになりながら仕事をしていました。

平日に疲弊しきってしまうため、土日はお昼過ぎまで泥のように眠り、昼間もボーッとして過ごしていました。

当然、趣味などに時間を費やす余裕はなく、あるとすればAFP(ファイナンシャル・プランナー)や証券アナリストなどの資格の勉強をどうにかこなしていました。

証券リテール営業の仕事はこのようにして、辛うじて「3年半」勤めることが出来ました。

その後、本社のリサーチ部門へ異動することになりましたが、いつまた営業に異動になるかビクビクしながら過ごしていました。

ここまでのまとめ

以上、「証券リテール営業の濃密な1日を紹介【「手数料」ノルマを徹底追求】」でした。

本当に濃密な1日を過ごしていたと、今振り返ってみてもそう思います。

手数料を稼ぐためのは、相場の状況など「運」に頼る部分も少なくありませんが、できる営業マンほど、合理的に行動して確実に手数料を積み上げていきます。

そうしたノウハウやテクニックはまた別の機会に紹介できればと思います。

それでは。

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